宅地建物取引士(以後、宅建士と略す)資格を取得するためには多くの勉強や時間が必要だし、資格取得後の実務でも大変な責任が伴うことがあるため「宅建士資格を取得することをやめた方がいいのか」という疑問や不安がある人も多いです。
宅建士はやめたほうがいいという一定の意見があることも事実です。
しかし20万人以上(令和4年度は28万人、内合格者3.8万人)の申込がある宅建士試験は国家資格の中でも人気の資格であることは変わりありません。
もしあなたが宅建士の資格を取るかどうか悩んでいるならこの記事は大いに役立ちます。
- 宅建士を取るべきではない人
- 宅建士はやめておけと言われる理由
- 宅建士取得のメリット
- 宅建士資格取得後の就職・転職のポイント
「宅建士はやめとけ」と言われる理由
宅建士資格を取得するには、多大な時間と費用がかかることが挙げられます。さらに、宅建士資格は特定の業務に特化しているため、他の資格を取得する場合に比べて役に立たないケースが多いです。
また、不動産業界においては宅建士資格よりも、より高度な専門的な知識を身につけるための他の資格が求められる場合が多く、そうした場合には他の資格を取得した方が適している場合があります。
さらに、宅建士資格は人との接点が必要な業務にはあまり適していない場合があります。そのため、人との接点が苦手な人にとっては、宅建士資格を取得することが向いていないかもしれません。
加えて、他の資格を取得することで、より多彩なスキルを身につけることができるため、将来的に自分のキャリアに有利になる可能性も高くなります。
これらの理由から、「宅建士 やめとけ」という声もあるのです。
- 他の資格が求められる場合が多い
- 宅建士資格取得後の就職・転職にはあまり役に立たない
- 宅建士資格取得にかかるコスト・時間が高い
- 専門的な知識を身につけたい場合には、他の資格の方が適している
- その他の理由
宅建士資格を取らないほうが良い人
宅建士試験は多くの人が受験して資格取得を目指しますが、中には全く役に立たなかったり、受けるんじゃなかったと後悔する人もいるようです。
資格だけで何とかなると思っている経験不足の人
宅建士資格取得には、不動産に関する法律や制度、契約書の作成方法、税金や登記に関する専門的な知識が必要です。
そのため、不動産業界での実務経験や、法律や経済に関する基礎的な知識を持っていない場合は、宅建士試験に合格しても実務で活用することができない場合も想定できます。
ただ宅建士の資格を取れば努力なしで大丈夫だと思っている経験値の少ない人はやめておいた方が賢明です。
専門的な知識が必要ない人
宅建士資格は、不動産の売買・賃貸借に関する専門的な知識を要求するため、不動産業界や不動産に関連するビジネスに興味を持っている人に適しています。
しかし、不動産に興味がなく不動産業界に関わらない職業に就いている場合は、宅建士資格を取得することが必要ない場合があります。
もし、全く別の職業で今後も関連する職業に転職するつもりもないのであれば取る必要はないと考えます。
ただし、資格を取得することで不動産の知識が増えることは間違いないので、自宅や投資物件の購入時に活かすことは可能です。
就職・転職に役に立たないと考えられる人
宅建士資格は、不動産業界でのキャリアアップに役立つことが多いですが、就職や転職においては、必ずしも有利になるとは限りません。
宅建士資格を取得しても、それだけで高収入を得られるわけではなく、経験や実績も重視される場合があります。
資格取得に必要なコスト・時間が負担になる人
宅建士資格取得には、受験費用や勉強教材、試験前の勉強時間など、多くのコストと時間が必要になります。
費用や時間に余裕がない人にとって、宅建士資格を取得することが難しい場合があります。
通勤時間やすきま時間をうまく利用して多くの人が宅建合格を手にしていますが、それなりに時間を使って努力しているという背景があるのです。
人と接するのが苦手な人
宅建士は不動産取引においてお客様や関係者とのやりとりが必要になる場合があります。
人との接点が苦手な人にとっては宅建士資格を取得しても、実務で活用することが難しい場合があります。
宅建士資格を取ったほうが良い人
宅建士資格を取るべき人としては、不動産業界に興味があり、将来的に不動産業界でのキャリアを考えている人や、法的な知識を身につけたい人、不動産に関する基礎的な知識を身につけたい人が挙げられます。
また既に不動産業界で働いている人で、より専門的な知識を身につけたい人も宅建士資格を取得することを検討してみると良いでしょう。
宅建士資格を取るべき人の特徴としては、不動産業界での就職・転職を考えている人や、自己所有の不動産を売買・賃貸することを検討している人などが挙げられます。
自分自身で不動産業を起業する予定がある場合にも宅建士資格の取得は有用です。
不動産に関する基礎知識や法律知識を身につけたい人や、キャリアアップを目指す人も宅建士資格を取得することでスキルアップが可能です。
不動産業界に興味がありキャリアを考えている人
将来、不動産会社で働くことを目指している人にとって宅建士資格は必須です。
例えばマンションの販売や土地の仲介を行う不動産会社では宅建士がいなければ契約を締結できません。
新卒で不動産会社に入社する場合でも資格を持っていれば入社後すぐに重要な役割を任される可能性が高くなります。
何といっても資格手当もつくことがあるので業界に就職するならあるに越したことはありません。
不動産の基礎知識を身につけたい人
自分の家を購入したり賃貸物件を探したりする際に知識が不足していると損をすることがあります。
たとえば住宅ローンの仕組みや物件の適正価格について理解していないと不利な条件で契約してしまうかもしれません。
宅建士の勉強を通じて不動産に関する基本的な法律や契約の流れを学ぶことで、自分の資産を守るための知識を身につけることができます。
不動産業界でさらに専門知識を深めたい人
すでに不動産業界で働いている場合、宅建士資格の取得はキャリアのステップアップに直結する重要な要素。
たとえば物件の仲介業務を日常的に行っている方は、宅建士資格を取得することで今までサポートに回っていた業務を自ら担当できるようになります。
資格を持つことで「重要事項説明書の作成・交付」や「契約書への記名押印」といった法的に求められる重要な業務を担当できるようになります。
いちいち宅建士にお願いしていた業務が自分で出来るようになれば効率化も図れます。
仕事の幅が広がり、より責任のあるポジションに昇進する可能性も高まるでしょう。
また、資格を持っていることで顧客からの信頼も得やすくなり商談の際にも有利に働くことが多いです。
さらに法律や規制が頻繁に変わる不動産業界において宅建士としての知識を持つことで新しい法令や規制に柔軟に対応できる力が身につきます。
たとえば賃貸借契約や売買契約の際に生じるトラブルを未然に防ぐための適切なアドバイスができるようになり、業務の信頼性も高まりますね。
このように、すでに不動産業界で働いている方が宅建士資格を取得することで業務の幅が広がるだけでなくキャリアアップの大きなチャンスを得られるでしょう。
自己所有の不動産を売買・賃貸したい人
自分の家や投資用不動産を売買・賃貸に出す際に、業者に全て任せるのではなく自分でも取引の内容を理解しておくことは大切。
例えば、賃貸物件を経営している場合、賃貸契約のトラブルを未然に防ぐために宅建士としての知識が役立ちます。
賃貸借契約書の作成や更新、解約時の手続きなど、法に則って正確に対応できるようになるのが大きなメリット。
不動産業で起業を考えてる人
不動産業を始めるためには法律上、宅建士資格が必要で自分で持ってなければ宅建士を雇わなければ開業できません。
資格を持つことで顧客に対して信頼感を与えることができ競合との差別化にもつながります。
自分で不動産会社を立ち上げる際には、宅建士資格がビジネスの基盤となるでしょう。
宅建士資格を取るメリット
宅建士資格は、不動産に関する基礎的な知識を身につけることができるため、不動産業界での就職や転職に役立つことがあります。
不動産取引における法的な知識を持つことができるため、自己防衛の観点からも有用です。
宅地建物取引業に関する免許の申請に必要な資格なので不動産業を開業するのであれば必須の資格となります。
宅建士資格取得のメリットとして考えられる点は以下の3つです。
- 不動産に関する基礎知識や法律知識を習得できる
- 不動産業界での就職・転職の際に有利になる
- 自己所有の不動産の売買や賃貸、管理などにおいても知識を生かせる
宅建士試験概要
「宅建士」とは、不動産の売買・賃貸借などに関する法律や制度、契約書の作成方法、税金や登記に関する知識を身につけた上で、国家資格として取得することのできる資格のことを指します。
宅建士資格は、日本の不動産業界においては高い信頼性と実務力が認められる資格であり、宅地建物取引士や不動産鑑定士と並んで、不動産業界でのキャリアアップや専門的な知識を身につけるために取得する人が多い資格の一つ。
一方で宅建士取得には高い知識や学習意欲が求められ、取得後も実務経験や学びの継続が必要であるため、取得することが適していない人もいるとされています。
資格正式名称 | 宅地建物取引士 |
管轄省庁 | 国土交通省 |
資格試験主催 | 一般財団法人不動産適正取引推進機構 |
試験頻度 | 毎年1回 |
試験日 | 10月第3日曜日 |
合格率 | 15~18% |
難易度偏差値換算 | 56 |
宅建士資格取得後の就職・転職のポイント
宅建士資格を取得した場合、不動産会社や建築会社、銀行など、不動産に関わる様々な企業での就職・転職に有利になることがあります。
また、宅建士資格を持っていることで営業職の求人に応募する場合にも有利です。
ただし宅建士資格だけでなく他の資格やスキルも併せ持つことで、より広い就職・転職の可能性を持てるようになるのであまり過大な期待はしないほうが賢明です。
宅建士資格を取得した後の就職・転職においては、宅建士資格を活かせる職種や業界を選ぶことが重要ですね。
不動産業界においては宅建士資格を有することが求められる場合がありますが、他の業界では必ずしも重視されない場合もあります。
宅建士資格の取得によって身につけたスキルをアピールし、自己PRを行うことがポイントです。
宅建士資格を取得する際の注意点
宅建士資格を取得する際には、費用や時間、学習に必要な労力を十分に考慮する必要があります。
また、宅建士講座を選ぶ際には、宅建士試験の合格実績や講師の資格・経験などを確認することが重要です。
宅建士資格が役に立つかどうかは、就職・転職において企業や業界によって異なるため、それらの情報を事前に収集することが重要です。
まとめ
上記のように、宅建士を取得するには多大な時間と費用がかかることがあり、その資格が必ずしも役に立たないケースもあるため、「宅建士 やめとけ」という声があるということがわかります。
ただし、業界によっては宅建士資格が求められるので自分の目的に合わせて資格取得を検討する必要があります。
宅建士資格を取るべきかどうかは、個人の目的や状況によって異なります。
宅建士資格は不動産業界において必要とされる専門的な知識を身につけることができるため、業界に進出するための第一歩として役立ちます。
また、宅地建物取引業務を行う上で法的な知識が必要とされるため、法律に興味がある人にも向いています。
一方で、宅建士資格を取得するには多大な時間と費用がかかるため、その負担に見合うだけのメリットがなければ、取得しない方が良いでしょう。
不動産業界においては他の資格も求められる場合が多く、その点も考慮する必要がありますね。
最終的に、宅建士資格を取得するかどうかは、自分自身の目的や将来のキャリアプランに合わせて判断する必要があります。
宅建士資格取得に向いている人もいれば、向いていない人もいます。
自分自身の状況をしっかり把握し、十分に情報収集してから判断することが重要です。